今回は欧州5大リーグで起こった偉業の軌跡を書いていきます。
4回目は「2015-2016シーズン レスター」です。
主なフォーメーション
①奇跡の残留も問題が多発したオフシーズン
レスターは2014-2015シーズンに2003-2004シーズン以来の1部に昇格するも、プレミアの壁にぶち当たりリーグ終盤までリーグ最下位に沈んでいたものの、ラスト9試合を7勝1分1敗と強烈な追い込みで奇跡とも言える残留を果たしました。
しかしそのオフに残留の立役者となったピアソン監督の息子を含む複数の選手が5月のアジアツアー中に乱交パーティー、さらに人種差別発言を行ったとして解雇されると、その父親でもある監督もシーズン中に相手選手の首を絞める問題行動を起こしたこともあり解任の憂き目にあいます。
それでも後任監督には「修理屋」の異名を持つラニエリ監督を招集し、岡崎、カンテ、インラ―等を補強。それでもあくまでプレミアリーグ残留を目標としているのは間違いなく、戦力的にも厳しいものがありました。
②ミラクルレスター
しかしチームは多くの予想を裏切るように序盤に勝利を重ねると、遂には13節には首位に立つ等快進撃を繰り広げていきます。
その大きな要因はラニエリ監督が進めた堅守速攻のスタイル。前線のヴァーディー、岡崎がしつこいぐらいに相手を追い回すと、中盤ではカンテが異常なほどの運動量と奪取能力でボールを刈り取っていきます。さらにその中央を避けクロスを上げるもモーガン、フートのツインタワーが弾き返すという実に理に適った守備でゲームを引き締めると、ドリンクウォーターがパスを左右に散らしてき崩しの切り札であるマフレズがサイドを疾走、そしてフィニッシャーのヴァーディーは驚異的な決定力を発揮しファン・ニステルローイの記録を破る11試合連続ゴールを記録。
年末年始に一度は首位から陥落するも再び勢いを取り戻し、怪我人続出で失速したアーセナル、序盤の躓きが響いたトッテナム、グアルディオラ監督就任が発表された2月に監督への求心力を失ったマンチェスターシティを振り切り（マンチェスターユナイテッド、リヴァプール、チェルシーは首位戦線に食い込む事が出来ませんでした。）、見事に優勝。
移籍に投じた費用はリーグ17位、そして前評判とクラブの規模を考えれば正に「奇跡」とも言える優勝。「ミラクルレスター」と呼ばれたチームは金満化するプレミアリーグに一石を投じることとなりました。
③オーナーの死別と降格
しかしその後はチームは激動の渦に飲み込まれる事に。リーグ王者として臨んだ2016-2017シーズンはカンテの移籍と補強の失敗で低迷すると、2018年には前述した優勝の立役者でファンからも愛されたオーナーのヴィチャイ・スリヴァッダナプラバ氏がヘリコプター事故で死去。多くのファンや関係者が悲しみに包まれる事となります。
それでもロジャーズ監督2年目の2019-2020シーズンには5位に食い込み翌シーズンにはFAカップ優勝を果たすも、無理な投資が祟り深刻な財政難に。そして2022-2023シーズンには求心力を失ったロジャーズ監督の解任タイミングを見誤り18位で終え遂に降格の憂き目に。奇跡のシーズンから僅か7年でチームは2部でやり直しを余儀なくされます。
しかし今シーズンはマディソンやティーレマンスなど多くの主力を失ったものの2部では圧倒的とも言える戦力を擁し、現在2部で首位を独走。再びプレミアリーグで大暴れする為に再建の道を着実に歩んでいると言えます。
では
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