今回は強豪国のカタールW杯国別総括を書いていきます。
10回目は「モロッコ代表」です。
結果
３勝２分２敗 6得点5失点 4位
主な布陣
①寸前の監督交代による影響
アフリカ予選でコンゴを破り2大会連続の出場となったモロッコ代表ですが、その後本大会に導いたハリルホジッチ監督が解任されてしまいます。
理由は監督と主力選手との軋轢で、中心であり同国のスターであるツィエク（チェルシー）、マズラウィ（バイエルン）、アリ（マルセイユ）、ベルハンダ（デミルスポル）等は指揮官と衝突し代表から追放状態に。それによる代表人気の低下危惧した協会が監督を解任する事態になり本大会を前に混乱状態に陥りました。
そして新監督には国内屈指の名門のカサブランカを率いてモロッコリーグ、CAFチャンピオンズリーグを制したレグラギ氏が就任。
上記選手達はベルハンダ以外選出され（後にアリは負傷で離脱）協会やファンが望む形となりましたが、代表監督としての経験は皆無で、更に余りにも準備期間に限りがあり本選での躍進は考えられませんでした。特に前回大会同じような状況にあった日本代表を見ているだけに余計にそう思いました。
②長らく越えられなかった壁を突破
そして迎えた初戦のクロアチア戦。モロッコはボールを保持されながらも奪取後は素早くサイドに展開するカウンターを駆使して前回大会準優勝チーム相手にドローに持ち込みます。特に守護神ブヌ、そしてカバーリングに秀でたアゲルド、中盤でのフィルターとして最高の働きを見せたアムラバトの動きは素晴らしく、2戦目も活躍が期待されると、続くベルギー戦でもその鋭いカウンターは健在。VAR判定もあり後半途中まで得点は奪えずにいるも、セットプレーで先制点を挙げ、後半アディショナルタイムにはトドメの追加点を挙げ強豪国を粉砕します。
そして迎えた最終戦のカナダ戦も前半で2ゴールを挙げるも、後半には運動量が落ちカナダに攻め込まれますが何とか耐え抜き2勝1分で36年ぶりにグループリーグを堂々首位突破を果たします。
ただ続く相手は優勝候補にも挙げられているスペイン代表。これでモロッコのW杯は終わるかと思われましたが、試合が始まるとブスケッツを抑えつつ連動した守備でスペイン攻撃陣を困難に陥れると、効果的なカウンターでチャンスを作っていきます。それでも両チーム得点を奪われずに試合はPK戦に持ち込まれると、スペインはまさかの最初の3人が失敗し敗戦。チームは史上初のベスト8に進出することとなります。
続くポルトガル戦でもその勢いは衰えず自慢の堅守は相手の攻撃陣を封殺。そしてエンネシリの途轍もないジャンプ力によるヘディングが決まり見事撃破。ロナウドの夢を打ち砕き、見事アフリカ勢史上初のベスト4に進出することとなります。
ただ続くフランス戦でも先制され果敢に攻め込むも、フィニッシャーのエンネシリはフランス守備陣の前に沈黙。ボールを持たされる苦手な展開に終始苦しませられ敗北。ゲーム運びの力の差を見せつけられることとなりました。
そして3位決定戦もクロアチアに敗北し4位に。それでも他国が長らく越えられなかった壁を突破するベスト4という結果、そして各選手の役割をシンプルかつ明確にして短い間に連動した守備陣を作り上げたレグラギ監督の手腕は特筆に値します。
③まだまだ若いタレントが多いだけに
ただ今後モロッコ代表がW杯4位という肩書きに相応しいサッカーを見せ続けてくれるかというと正直疑問符はあります。
1998年からのW杯を振り返ってみても大会で大躍進したチームは
・1998年クロアチア代表→グループリーグ敗退
・2002年トルコ代表→予選敗退
・2002年韓国代表→グループリーグ敗退
となっており（過去を振り返ってみてもこれぐらいしか無いのがW杯のハードルの高さを物語っています。）、2大会連続の躍進を許してくれる程甘い物ではありません。
それでもまだまだ若いタレントが多く伸びしろはある為、この成績に満足せず選手達が高みに登り続けていけば十分可能性はあり、非常に楽しみでもあります。
この結果をよく頑張ったで済ませるか、更に改善策を練り強化を進めていくか、サッカー大国になる為の権利を得た今、その動きに注目です。
では
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