今回はラ・リーガ所属クラブを苦しめる「サラリーキャップ」について書いていきます。
①5大リーグで最下位の「使われた」移籍金
かつてはバルセロナ、レアルマドリード、アトレティコマドリード、セビージャを中心に欧州を文字通り支配していたスペインのラ・リーガですが、近年プレミアリーグの繁栄において劣勢を強いられており、さらにサウジアラビアリーグが欧州の移籍マーケットを賑やかす事になり立場が非常に危ない状況に陥っています。
今シーズンリーグ全体で使われた移籍金は8月上旬時点で3億€弱。16億€を使っているプレミアリーグは勿論の事、4億~5億€を使っているセリエA、リーグアン、ブンデスリーガすら及んでおらず、大型移籍はべリンガム(レアルマドリード)のみ。
さらに今シーズンはデンべレがパリ・サンジェルマンに移籍し、パウ・トーレスがアストンビラに引き抜かれ、未来のスター候補のベイガはサウジアラビアリーグに。
埋め合わせが出来ないスピードでタレントの流出が起こっており、リーグ全体のレベルや魅力自体が低下している状況になっています。
その大きな要因としてラ・リーガが独自に敷いている「サラリーキャップ」が大きく関わっています。
②多くのクラブが破綻の危機に
ただ今でこそ問題になっているものの、サラリーキャップを採用したきっかけは至極真っ当な理由でした。
サラリーキャップが用いられた2013年当時、ラリーガは国自体の不況のあおり(当時のスペインはギリシャに次いで深刻な財政危機に陥っていました。)を受け、スポンサーの撤退やファンのスタジアム離れによりクラブの収入は激減。多くのクラブが経営難に陥りました。
しかし多くのクラブはそんな経営状態にも関わらず強化を続け、破産の危機に。さらに給与支払い義務が50%免除されたりする「倒産法」が悪い意味で利用され、選手への給与未払いが続く等杜撰な状態となっていました。
そんな中クラブの経営状態を是正する為にサラリーキャップ制を適応。クラブ全体の収入を元に使用限度額を設けることで健全経営を行うよう努めていました。
その為、今ではサラリーキャップはバルセロナへの影響もあり「悪しき法」と勘違いされがちですが、当時のクラブの放漫経営を食い止める為に必要なものであったと思われます。
③ある程度の規制緩和はあったものの
しかし放映権の影響もあり2強(バルセロナ、レアルマドリード)の総収入がアトレティコの1,5倍~2倍、さらにセビージャの4倍近くを得ていることから「埋められない格差」(サラリーキャップが収入に対してのパーセンテージになる為、放映権が大幅に増えない限りその差を詰めることが極めて難しい)が存在することに。次第に2強を守るための法と揶揄される事となりました。
更に新型コロナの影響で各クラブの収入が激減し、今後50年にわたるテレビ放映権収入の9%を利子としてCVCキャピタル・パートナーズに3クラブ以外(バルセロナ、レアルマドリード、アスレティック・ビルバオ)が融資を受ける事に。
短期的な資金を得ることは出来ましたが結果的に長期に渡り放映権料を失うこととなり、選手獲得の投資を渋る他無い状態に。さらにプレミアリーグ、サウジアラビアリーグが投資を続けているので今や草刈り場と化しています。
流石にその状態を危惧したのかリーグはある程度の規制緩和(サラリーキャップを超過していたクラブの人件費を節約した使用金額の割合増加)を行ったものの焼け石に水状態となっており(特にバルセロナ)、競技レベルの低下が危惧されています。
いまや経営面ではレアルマドリード1強状態になっており、人材流出等全体的な衰退が危惧されているラリーガ。現状放映権に価値を持たせ2強以外に金額を振り分けサラリーキャップを適用しなくてもいい状態にするしか方法は無さそうですが、現状それも極めて難しく、まだまだ我慢の時が続きそうです。
では
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