今回は欧州ビッグクラブで起きた監督退任表明に併せてそのメリット、デメリットについて書いていきます。
①極めて異例となった立て続けの発表
基本的に監督の退任はシーズン後に発表される事が多く、シーズン中での発表は契約を打ち切る解任が殆どで、余り無いものとなっています。
しかし今シーズンリヴァプールのクロップ監督の発表を皮切りに、バルセロナのシャビ監督、バイエルンのトゥヘル監督が立て続けに退任を発表と、極めて異例の出来事が起こっており、今やその後釜候補のニュースが連日報じられています。
今回はこの3例の背景や状況を比較し、その是非を考えていきたいと思います。
②最高と言えるタイミングでの退団表明
まず退任表明によりチーム状況が好転するであろうパターンはリヴァプールのクロップ監督の例であると思われます。
クロップ監督は9年もの間指揮官としてクラブを率いて、チャンピオンズリーグやリーグ優勝を含む多くのタイトルを獲得しており、ファンや選手からの信頼関係も非常に強固なものがあります。
ただ昨シーズンは不振でチャンピオンズリーグ出場権を逃す事に。そしてヘンダーソンやフィルミーノ等黄金期を支えた選手が退団し、新たなサイクル作りを余儀なくされました。
そんな中マック・アリスターや遠藤、ソボスライなど中盤を一新。やや機能性が不安な中新シーズンが始まりましたが、チームは好調を維持。早くもリーグカップを制し今や4冠も視野に入る程チームを上昇気流に乗せました。
また全ての選手が現政権でチームに加入し、中にはサラーやファン・ダイク、アリソン等ワールドクラスに上り詰めた選手が殆ど。選手のモチベーションも最高潮に高まっており、故障者続出の中驚異的な勝負強さを見せ、勝利を重ねています。
これまで長期政権を築いた監督はやや落ち目の中退任(アーセナルのヴェンゲル監督)や、新しいサイクルを作れないまま退任(マンチェスターユナイテッドのファーガソン監督)等後任監督に大きな負担が残るような去り方をしていましたが、クロップ監督はチームの新陳代謝を進め、上昇気流に乗せた状態での退任。
後任監督もある程度ベースが出来た状態でのスタートとなる為やりやすく、クラブにとっては最高と言えるタイミングでの退団表明となりました。
③デメリットだらけの退任発表の意図
しかしバルセロナのシャビ監督、バイエルンのトゥヘル監督に関しては疑問に思う所があります。
まずシャビ監督ですがチームのレジェンドでユース出身の選手からは尊敬され、プライドの高い選手を上手く扱っていることからモチベーターとしては優秀と言えますが、当時のチーム状況は落ち目。
一時期は怪我人が戻り復調したものの、現在は再び野戦病院に。そんな中今いる戦力で何とかやり繰りしたい所ですが、サッカー自体は個人頼みのサッカーから脱却できないでいます。
現状リーガは首位と8ポイント差で厳しい状況、コパデルレイは既に敗退しており、チャンピオンズリーグもベスト16まで残っているものの優勝となると望み薄。
さらにクラブが財政難である為、オフの強化もあまり期待出来ません。正直この条件で退任を表明した所でブーストがかかる可能性は低く、競技面でのメリットはほぼ無いので、会見通りシャビ監督が耐え切れなくなりファンやマスコミによる批判の嵐を抑える為のメッセージ(監督が辞めるので必要以上に騒がないでね)の意味合いが強いと思います。
そしてバイエルンのトゥヘル監督はブンデスリーガではここまでレバークーゼンに大差を付けられ連覇が途絶えることが濃厚で、チャンピオンズリーグも監督と選手達が改めて団結しないと難しい状況。しかし選手との信頼関係も構築出来ているとは言えず、連日のように内外から度々不協和音が漏れています。
また辞めるのが分かっている上司の為に戦うためには厚い信頼関係を必要とする等、モチベーション面でもメリットが無い状態であり、正直シーズンを「捨てた」と受け取られてもおかしくはありません。
それでもこの時期に発表するのは恐らく後任監督の選出を優位に進める為であると考え、実際リヴァプール就任が有力視されていたレバークーゼンのシャビ・アロンソ監督招聘でも一歩リード。職業としては選手以上に不安定であり着任タイミングが重要な監督業において、クラブ自らがその機会を作ってあげる事は非常に魅力的であると言えます。
引き際としては最高のタイミングと言えるリヴァプール、監督が耐え切れなくなったバルセロナ、そしてマイナスでしかないものの意図を感じるバイエルン。この3クラブが今シーズンは勿論の事、来シーズンどのような動きを見せるか注目です。
では
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