今回はブンデスリーガの株式売却について書いていきます。
①放映権に対する株式売却交渉
昨年12月、ドイツフットボールリーグ(DFL)はブンデスリーガとブンデスリーガ2部の放映権における8%の株式売却交渉を進めていると明かし、所属する36クラブによる投票が行われ、24クラブが賛成票を投じたことで可決。
現状資金面でプレミアリーグには大きく離され、クラブの収入ランキングでもトップ20以内に入っているのはバイエルン、ドルトムント、フランクフルトのみ(因みに内訳はプレミアリーグ8チーム、セリエA4チーム、ラ・リーガ3チーム、リーグアン2チーム)。また放送権でもプレミアリーグに約2倍の差を付けられており、国際マーケティングという面でも出遅れている状況でした。
②資金調達と投資先の獲得
そんな中での株式売却、そのメリットは「資金調達と投資先の獲得」です。
現状ブンデスリーガは「50+1ルール」が1998年に制定されており、クラブ企業以外の個人・団体が保有する議決権を最大49%までに制限されています。
その為投資家やワンマンオーナーによるクラブ運営は認められておらず、プレミアリーグのように主流の中東のオイルマネー、アメリカ資本が入る余地はほぼ無く(経営権が無い為メリットが無いと言った方が良いです。)、殆どのクラブが外資に頼らず経営を行っています。
反面纏まった資金を得ることが出来ず年々プレミアリーグとの差は開くばかり。更に圧倒的な資金力を誇るラ・リーガの3強やパリの存在で、今やバイエルン以外のクラブはそれらのクラブへの登竜門と化すばかりになっています。
その状況での株式売却は理に適っていると言え、それ程悪いことでは無いと思われました。
②クラブはファンのもの
しかしドイツ各地でサポーターが大規模な抗議活動を展開し、グラウンドには抗議の意味でのテニスボールやコインチョコが投げ込まれ、試合開始が延長されたり中断される事態に。
その大きな理由は皮肉にもブンデスリーガのプレミア化への抗議によるものでした。
現在ブンデスリーガは平均観客動員数で世界一を維持しており、例え2部でもかなりの観客が入っている状況です。
しかし同じように人気があったプレミアリーグはより資金を得た反面、チケットの値上げや気軽にテレビで見ることが出来なくなり、クラブとの距離が空くことに。
チーム名に企業名を入れることを制度で禁止している程(唯一の例外は当時のレギュレーション違反にならなかったバイヤー・レバークーゼンぐらいです。)外資の参入に強い抵抗を持ち「クラブはファンのもの」を強く意識しているサポーターがその「プレミア化」に危惧するのは当然の事であり、この行動も良くないとは言え気持ちは理解出来ます。
正直現時点でプレミアリーグのように即刻外資がどんどん参入する事態になるとは思いませんが、これまでせき止めていた堀の一角を崩すと一気に流れ出てしまうのも事実。果たして地元サポーターからこよなく愛されているブンデスリーガは今後どのような動きを見せていくのか、創設当初はその構造を真似ていたJリーグの今後を占う意味でも注目していきたいと思います。
では
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