今回はプレミアリーグで相次ぐ監督解任劇について書いていきたいと思います。
①半数以上のクラブで指揮官交代が行われる
2022-2023シーズンのプレミアリーグの大きなトピックスは「指揮官交代」の多さにあります。
2022年8月末にスコット・パーカー監督（ボーンマス）を皮切りに
・9月にはトゥヘル監督（チェルシー）の解任に伴いポッター監督（ブライトン）が引き抜かれる形で就任
・10月にはラージ監督（ウルヴス）、ジェラード監督（アストンビラ）が成績不振により解任
・11月にはハーゼンヒュットル監督（サウサンプトン）が成績不振により解任
・23年1月にはランパード監督（エバートン）は成績不振により解任
・2月にはマーシュ監督（リーズ）、ジョーンズ監督（サウサンプトン）が成績不振により解任
・3月にはヴィエラ監督（クリスタルパレス）が成績により解任、コンテ監督（トッテナム）が成績不振とフロント批判により解任
・そして先日にはポッター監督（チェルシー）、ロジャーズ監督（レスター）が成績不振により解任
と、引き抜かれたブライトンのポッター監督を除いても延べ12人の監督が解任の憂き目に合い、これはプレミアリーグ史上最多の解任数となっており、昨シーズンの10人を遥かに上回る数を更新しています。
更に半数以上の11クラブで指揮官交代をしており、現在もモイーズ監督（ウェストハム）、クーパー監督（ノッティンガム）のクビも危ういと報じられる等、今後その数はさらに増えそうです。
②プレミアリーグという大きな魅力
それではなぜここまで指揮官の交代が近年これまでに頻繁に起こされているのかというと、まずは2部に落ちると本当の意味での「死活」問題になってくるからです。
プレミアリーグとチャンピオンシップ（2部）の収入は特に放映権料に大きな格差が存在しており、例え下位のチームでも5000万￡以上2部のチームより多く支払われています。またその大きすぎる格差故に各クラブが財政破綻しないように降格した年から4年間も総額6000万￡程が支払われる「パラシュート・ペイメント」という救済措置も付いているぐらいです。
更に他リーグと違うのは放映権にそれ程格差が無く、例え下位クラブでもドイツの強豪バイエルン並みの金額を受け取っている程で、非常に金銭的な魅力が高いです。
さらにBIG6を始め多くのチームが各国から有力選手をかき集めている為クラブ間の力が拮抗しており、多くの収益が期待出来る欧州カップ戦の順位争いも他国リーグより遥かに熾烈なものとなっています。
③監督にとっての「魔境」に
その為たった1シーズンの補強や戦略の失敗で一気に降格圏に沈むことは珍しく無く、さらに殆どのクラブがオーナー制度を取り入れている為投資先としての意味合いも他国よりも強い為、結果を出さないとその矛先は立場が一番不安定（切りやすい）な監督に向けられることは想像に難くなく、多くの監督が職を失うことに。
結果プレミアリーグの同クラブで1年以上監督を務めているのはアルテタ監督（アーセナル）、グアルディオラ監督（マンチェスターシティ）、エディ・ハウ監督（ニューカッスル）、クロップ監督（リヴァプール）フランク監督（ブレントフォード）、モイーズ監督（ウェストハム）と6人のみと寂しい状況に。
それでも解任されるリスクがありながらも今シーズンもエメリ監督（アストンビラ）、ロペテギ監督（ウルヴス）等他リーグで結果を残している監督が次々と進出していることからいかにプレミアリーグが監督にとって「魔境」であることが分かります。
質の高い選手に囲まれ華やかな舞台に立てる一方、大きなエゴや利権によりその任が解かれやすくなっているプレミアリーグ。かつてのファーガソン監督、ヴェンゲル監督のように長期政権を築くのはほぼ不可能となってしまっており、今後の動きも気になる所です。
では
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