今回はW杯における「ジャイアントキリング」について、
・両チームの背景
・戦術的な要因
・その後の両チーム
を中心に書いていきます。
2回目は「2002年日韓W杯 韓国vsイタリア」です。
両チームのスタメン&結果
①開催国としてのメリットを享受
2002年日韓W杯の開催国として名将ヒディンク監督を招集した韓国代表は、アメリカ、ポルトガル、ポーランドと他開催国日本と比べて厳しいグループに入ったものの、初戦ポーランドに2-0で勝利、アメリカとは引分と順調なスタートを切ると、強豪ポルトガル代表にも1-0の勝利。中心選手のコンディション不良やラフなプレーで二人が退場する等ポルトガルの不出来は明らかであったもののそのソリッドな戦い方は見事で、後の問題が無ければ十分「ジャイアントキリング」と言える戦い方をしたと思われます。
一方イタリア代表はユーロ2000年で準優勝したチームが成熟期に。ヴィエリ、ドニ等も加わりフランス、アルゼンチン代表とまでは言わないものの優勝候補の一角ではありました。グループリーグではクロアチア代表に敗北し苦しむもメキシコ戦ではデル・ピエロの起死回生のゴールもあり何とか突破。
ただグループリーグでは苦しむ傾向にあるイタリア代表の「悪癖」もありそれほど問題視はされず、対戦国は開催国とはいえ初のグループリーグ突破を果たした韓国との戦力差は明らかで、今大会で問題視されたコンディション面でもそれほど影響は無かった(ヴィエリが好調等)為正直勝ち抜けは固いかと思われました。
②余りにも一方的なジャッジ
そして試合が始まりましたが、それはサッカーとは異なるスポーツでした。韓国の選手はイタリアの選手達に激しいラフプレーを敢行。マルディーニは頭部を明らかに蹴られ、ザンブロッタ太ももに目掛けたスライディングで負傷退場(全治3か月)、ココは肘打ちを受け流血等と激しいを通り越した暴力的なプレーに、当時テレビを見ていた私は戦慄しました。(少しでもサッカーをプレーした人ならこの怖さが分かると思います。)
さらにトッティがそのタックルを避けた際にシミュレーションとして退場、トンマージが決めたゴールはオフサイドとして取り消し、それに対して韓国側は前述したラフプレーのお咎めが殆ど無く、余りにも一方的なジャッジが連発。そのまま最後はアン・ジョンファンのゴールデンゴールが決まり韓国が勝利する事となり、余りにも不条理な結果を受けて韓国が準々決勝に進むことになりました。
③大きな遺恨を残した大会
その後韓国はスペインをPK戦で破るも、2ゴールの取り消しなどこちらも物議を持ち出す判定が続きベスト4という結果は残したものの、
・これら2試合がFIFA公式DVD「世紀の10大誤審」に収められている
・審判買収の疑惑が持ち上がる
・2002年W杯が「史上最悪の大会」と評される
等大きな遺恨を残した大会となりました。個人的にはグループリーグ突破しての決勝トーナメント進出は妥当なもので、ヒディンク監督の手腕も冴えておりイタリアに対して「賞賛される」ジャイアントキリングを行う可能性と力は十分に備えていたと思います。しかし度重なるラフプレーと誤審が試合が壊され制御不能になったことは残念でならないです。
対するイタリアはその4年後カルチョ・スキャンダルという逆風もあったものの2006年W杯を制覇。2002年の屈辱を過去のものとしました。
ただ先日再びイタリア戦を裁いたモレノ氏が発言し物議をもたらすなど未だに話題にされることが多く、この試合がいかに衝撃的であったかが分かります。
では
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