岡崎慎司　前編～8人の中で8番目から～【特集】

今回はシント＝トロイデン移籍が決まった岡崎慎司選手について書いていきたいと思います。

1回では書ききれない為、3回に分けていきます。

①8人の中で8番目から

岡崎選手は滝川第二高校から2005年に清水エスパルスに入団。当時は技術的に物足りない部分が目立ち、長谷川監督からは8人のFWの中から8人いたFWの選手の中で8番目の評価を下されます。

しかしその献身性と貧欲さで徐々に首脳陣の信頼を勝ち取ると、2006年の天皇杯で公式戦初出場を果たします。そして2008年までは主にスーパーサブ的な扱いでしたが短い時間でゴールを決める勝負強さを発揮し、シーズン途中からは矢島、原とのポジション争いに勝利。シーズン10ゴールを挙げる活躍を見せます。

そして2009年は14ゴールを挙げ、Jリーグベストイレブンを受賞。そして翌シーズンも13ゴールを挙げクラブの中心選手として活躍します。

サイドハーフでも機能する戦術理解力、そしてフォワードとは思えない程の献身性と抜群のオフザボール。入団時に8番目だった選手は、自身を生かす地道で正しい努力を行いエースまで上り詰めることになりました。

②物議を醸した移籍劇

そして後述する日本代表の活躍もあり世界から目を向けられることになり、2011年1月30日にドイツのシュツットガルト移籍が発表されます。

しかしこの移籍劇は

・岡崎選手の契約期間が1月31日までであり、フリーでは無く移籍金が発生する。

・清水は契約の詳細も含め何も聞いておらず移籍が行われた。

としてFIFA規則第18-3項第1文及び第2文にあたる所属クラブへの事前通告無く規約違反にあたることを清水が主張。JFAから国際移籍証明書が発行されなかった為、ブンデスリーガに登録出来ないアクシデントが発生。

結果岡崎選手はFIFAの暫定登録という形でブンデスリーガ、ヨーロッパリーグにも出場可能になったものの、当時のJリーグのフリー移籍に関する認識の齟齬（シュツットガルトからしたら2月に選手登録出来ました。）、そして選手の出場機会を奪いかねないクラブの選択として、物議を醸した移籍劇となりました。

③世界の得点王に

岡崎選手が広く世に知られるようになったのはやはり日本代表での活躍があったからでしょう。

2008年に初招集され、2009年1月のアジアカップ予選のイエメン戦で得点を挙げると、2010年W杯予選のウズベキスタン戦では日本の4大会連続のワールドカップ出場を決める決勝点を挙げます。更にアジアカップ予選香港戦、親善試合トーゴ戦ではハットトリックを記録。この年では親善試合のフィンランド、チリ戦でも2ゴールを決めており年間16試合で15ゴールを記録。国際サッカー歴史統計連盟（IFFHS）により世界得点王に選ばれる大活躍を果たします。