今回は最近よく取り上げられる「欧州サッカー3バック急増の理由」について書いていきたいと思います。
最近欧州サッカーで3バックが急増しており、近年ではマンチェスターユナイテッドやアーセナル、そして直近ではレアルマドリードなど以前では採用自体が想像できなかったチームが取り入れたりしています。今回は3バックが何故使われるようになったかとその有用性について自分なりに書いていきたいと思います。
①メガクラブにとっては敬遠しがち
3バックはセンターバックが4バックよりも一人多く守備的な布陣となっており、近年まで攻撃的なサッカーが求められるメガクラブにとっては敬遠しがちなフォーメーションになっています。理由としては守備的サッカーが横行したと言われる1990年W杯で3-5-2を使った西ドイツ代表がW杯で優勝したことや、2002年W杯のブラジル代表が7人で守って(3-4のブロック)3Rに懸ける守備的スタイルであったことで3バック=守備的でつまらないサッカーという印象が付いているからだと思います。
ただフォーメーションの概念が近年薄れつつあり(グアルディオラ監督は「システムの数字なんて電話番号に過ぎない」と評しています)、可変したりそもそも数字で表せないような戦術を取り入れたりしています。
そんな中出て来たのはグアルディオラ監督の「5レーン理論」で、今までありそうでなかった「攻撃の形を論理的に説明する」ことが行われ、急速に戦術が発展してきました。そしてこれまで守備的なシステムとして認識されてきた3バックは「攻撃を効率的に行う為に最適なシステム」として認識が変化することになり、2011-2012シーズンのバルセロナを生み出すことになります。因みに更に過去にはアヤックス、ビエルサ監督のアルゼンチン代表などが主に攻撃的な3バックシステムを取り入れています。
②安定感とシンプルさ
しかし現代サッカーにおいても3バック採用時にはウイングバックがディフェンスラインに吸収される為実質5バックで守備をしており、守備的なアプローチであることは間違いないです。しかし前述した「5レーン理論」により4バックが組織的に崩されるようになってからはスペースを満遍なく埋められる5バックは安定感においては上回っており、積極的に中小クラブ中心に取り入れられるようになります。
また攻撃時でも5レーンを取るにあたって3バックプラス3トップ登用はシンプルかつ容易で、ウイングバックがそのまま幅を取りFWが内に絞ることで、下手に可変するよりもずっと簡単に効率よく攻撃できる布陣を作 ることが出来ます。
この安定感とシンプルさが、過密日程が続き練習時間もまともに取れないと言われているメガクラブでも採り入れられる要因になっていると思われます。
③戦術の進化は続く
現在3バックを最も使いこなしているのはインテルであると思います。選手も3バックシステムに適した人材を使っており(モーゼス、ハキミが代表的です)、攻守共に非常に精錬されたサッカーを行っています。
またウイングバックの攻撃参加が特徴的なアタランタ、トゥヘル監督が「最適解」を見出したチェルシー、メッシ&アルバコンビを蘇らせたバルセロナなども魅力的なサッカーを展開しており今後も3バックシステムは重宝されていくと思います。
しかし
・サイドで揺さぶりをかけウイングバックを孤立させる
・2トップでセンターバック3枚をピン止めさせてバイタルエリアを使う
・センターバックの持ち上がりで相手マークをずらす
等5バックを組織的に崩す方法も既に確立されてきており、今後も戦術の進化は続いていくでしょう。
現状サッカー界のトレンドになりつつある3バック。今後はどのような流れになっていくのか注目です。
では