今回は過去のW杯での記録、そして記憶に残ったチームを書いていきます。
7回目は「2010 スペイン代表」です。
主な選手&布陣
①ユーロ優勝を引っ提げ、絶対的な優勝候補に
2010年W杯、スペイン代表は絶対的な優勝候補として評価されていました。
ユーロ2008ではクアトロ・フゴーネス(4人の創造者)を機能させ見事優勝。さらにメンバーの多くが当時黄金時代を迎えていたバルセロナに所属しており、クラブ、代表共に所謂「ティキタカ」で多くのチームの守備陣を困難に陥れました。
そんな中行われた予選でもユーロ後就任したデル・ボスケ監督の元、強豪チームと組まれないという幸運もありながらも、10戦全勝を果たし堂々と予選突破を果たします。
またピケ、ブスケッツ(共にバルセロナ)、マタ(バレンシア)、カソルラ(ビジャレアル)等新たに選ばれた新鋭たちの存在もあり、正に順風満帆の状況。スイス、ホンジュラス、チリと同居したグループリーグでも頭一つ抜けている存在となっており、明るい見通しが立っていました。
②初戦に敗れる大波乱も
そんな中行われたグループ初戦のスイス戦。スペインは守備を固めカウンターを繰り出すスイス相手に大苦戦。そして後半にゴールを奪われると、抑えられたティキタカを捨てサイドアタックに懸けるも及ばず敗戦。初戦に敗れる大波乱となってしまいます。
しかしその敗戦が逆にチームの気を引き締めたのか、続くホンジュラス戦ではビジャの2ゴールで快勝すると、3戦目のチリ戦では相手のプレスに苦しむもビジャとイニエスタのゴールで2-1で勝利します。
正直華麗なパスワークはあまり見られず、目立ったのはカシージャスを中心とした守備陣の奮闘、そして伝統的なサイドアタックでした。ただティキタカを捨ててでも勝てる強さがスペイン代表の地力の強さを物語っており、勢いを取り戻すことになります。
そして迎えた決戦トーナメント1回戦、強豪ポルトガルとの1戦でスペインは本来の力を取り戻します。パススピードが戻り試合を支配するも中々得点を奪えないでいますが、後半にビジャがゴールを挙げスコア以上の力の差を見せ見事勝利。
ただ準々決勝ではパラグアイのアグレッシブな守備とカウンターに苦しめられるものの、ビジャのゴールで何とか勝利。長らく破れなかったW杯ベスト8の壁を越えます。
準決勝の相手はドイツ。試合はほぼ互角となり一進一退の攻防を繰り広げますが、セットプレーからプジョルの魂のヘッドが決まり勝利。決勝へと駒を進めます。
③初物尽くしの優勝
そして迎えた決勝。相手はブラジル、ウルグアイを破ったオランダでした。
試合はお互い攻撃に特長のあるチームなのでドイツ戦のような攻防が期待されましたが、試合をコントロールしようとするスペインに対してオランダはファウルもいとわない潰しを決行し、荒れた展開となります。(結果的にワールドカップ決勝史上最多の14枚のイエローカードが出される事となります。)
それでもお互い譲り合うことなく延長に突入するも、延長後半11分にセスクの絶妙なスルーパスからイニエスタが決め先制点を挙げる(決めた時に見せたハルケへのメッセージが印象的でした)と、そのまま試合は終了しスペインが初のW杯優勝を決めました。
また今大会のスペインは
・決勝までの4試合を無失点で終えた初のチーム
・開幕戦に敗れながら優勝した初の国
・ヨーロッパ外で開催された大会で優勝したヨーロッパ初の国
・自国開催大会での優勝経験が無い中でのユーロ、W杯の連続優勝
と正に初物尽くしの優勝となり、如何に当時のスペイン代表が強かったかが分かります。
ティキタカへの対策、そして幾度どなくカウンターの脅威に晒されるもののその強固な守備とチーム力で乗り切ったスペイン代表。絶対的な本命がそのまま優勝するという横綱相撲を見事に見せてくれた大会となりました。
では
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