今回は年々拡大するプレミアリーグと他リーグとの差について書いていきます。
①過去最高の投資額に
今夏も欧州5大リーグの移籍市場の閉幕し多くのビッグディールが行われましたが、目立っていたのはやはりプレミアリーグの大型補強。
ヴィルツ、エキティケ、そして最終日にイサクを獲得と総額4億8290万€と単一クラブで投じた金額としては過去最高額を記録し、続くチェルシーは今季も大幅な入れ替えを行いジョアン・ペドロ、ギッテンス、ガルナチョを獲得し総額3億2815万€を投じる事に。またアーセナルもスビメンディやエゼ、ギョケレシュに大金を投じ、総額2億9350万€を使う等、途轍もない金額が動くことになりました。
そしてリーグの移籍金総額は31億€を超え、ブンデスリーガ(約9億6000万€)、セリエA(約9億3000万€)、リーグアン(約7億1000万€)、ラ・リーガ(約6億4000万€)を合わせた金額とほぼ同額を記録する等、圧倒的な資金力を示す事に。
バーンリー(1億2865万€)、リーズ(1億1370万€)、サンダーランド(1億8790万€)と昇格組がいずれも1億€越えの大型補強を敢行し、他5大リーグの昇格組がその10分の1程度の補強しか出来なかったことを考えればそれがいかに異常であることが判ります。
②チャンピオンズリーグを含めた「長期的な支配」
そんな中危惧されるのは他の地域との競技バランスで、特にヨーロッパリーグやカンファレンスリーグでは顕著に。実際昨シーズンはヨーロッパリーグはトッテナム、カンファレンスリーグはチェルシーが制しており、特にチェルシーは他チームを圧倒しており、近々チャンピオンズリーグを含めた「長期的な支配」が予想されます。
過去にはラ・リーガが欧州を支配していた時期もあったものの特定のクラブ(主にレアル・マドリードやセビージャ)に偏っており、他クラブも圧倒されるというよりはその「勝負強さ」にやられている印象。資金力や戦力に叩き潰されているイメージが強い昨シーズンの欧州シーンを考えると、その未来が危惧されます。
③高い競争力と過密日程はあるものの
ただプレミアリーグ自体も高い競争力があり、昨シーズンはマンチェスターユナイテッドとトッテナムが下位に沈む事に。さらにボクシングデーを含む過密日程は健在で、リヴァプールがその煽りを受け失速する事になりました。
そう考えれば18チーム34試合で行われカップ戦も一つ、さらにリーグのパワーバランスも偏っているバイエルンやパリが優位になっているものの、これはあくまで一時的なもので時間が立てばその優位性も薄れる事に。(ヴィルツを「奪われた」バイエルンを見ればその兆候が見えていると言えます。)
後3~4年この状態が進めばこれまで抗っていたバイエルン、パリSG、レアルマドリードも太刀打ちできなくなり(マドリーだけは何だかんだ言って勝っていそうですが‥‥)、一強時代に突入していくでしょう。
正直資本主義社会において企業努力で売り上げを上げる事は非難される事では無いものの、競技レベルの崩壊に近づいていることは確か。カップ戦とチーム数を減らし欧州レベルの戦いに注力したリーグアンのようにいかに対策出来るか、他リーグの今後の動きに注目です。
では
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