今回は再評価される監督について書いていきます。
第8回目は「コモ セスク・ファブレガス監督」です。
経歴
セスク監督は現役時代アーセナル、バルセロナ、チェルシー、モナコで活躍し、2023年に当時セリエBに所属していたイタリアのコモで現役を引退。
その後コモのBチームとU-19チームの監督に就任しましたが、当時の監督モレノ・ロンゴ氏が解任されたため暫定監督に就任。その後ライセンスを保持していなかった為オシアン・ロバーツ監督の元でアシスタントコーチを務めていたもの。実質的な監督としてチームを指揮しチームのセリエA昇格に貢献。
そして今シーズン晴れて正式な監督として就任すると、序盤は苦しむもセリエAでは「異例」とされるボール保持をベースとしたサッカーを貫き通し終盤には6連勝を記録し、残留どころか10位に躍進。見事に結果を残しました。
①残留争いに巻き込まれた状態で前半を折り返す
コモはスイスとの国境に位置する都市で、コモ湖や古代ローマ時代の遺跡が有名ですが、サッカーに関しては2002-2003シーズンのセリエA参戦以降主にセリエCを舞台にしており、主役としては言い難いチームでした。
しかし2019年に資産6兆円超と言われるインドネシアのハルトノ兄弟に買収されると、2021年にセリエBに昇格。その後贅沢な資金力もあり2023-2024シーズンにセリエB2位になり見事セリエA昇格を果たしました。
そしてオフにはヴァランレイナなどのこの規模のクラブでは到底呼べないビッグネームやドッセーナやベロッティ等セリエAで豊富な経験と実績を持っている選手。モレーノ、セルジ・ロベルト、ニコ・パス等スペイン人選手を中心に大型補強を敢行。その資金力とセスク監督の人脈がフルに活用される事となりました。
しかし序盤は大量に選手が入れ替わり組織作りに手間取ると、軸として考えていたヴァランが負傷離脱(その後引退)、ベロッティが不発に終わり苦戦する事に。残留争いに巻き込まれた状態で前半を折り返すこととなりました。
②組織力の高さを見せ躍進
それでもセスク監督は我慢強く戦術を浸透させ、チーム状況は好転していきます。
特に同サイドに圧縮するプレスが機能し、よりポゼッションを続けることが可能に。ビルドアップもアンカー落ちをメインにコンスタントにウイングにボールを供給する事が可能になり、2列目のニコ・パスは精度の高いキック、両ウイングのディアオ、ストレフェッザはドリブルで違いを作りチャンスを創造。ディアオの怪我、そして頼れるセンターフォワードの不在により最後は失速したものの、組織力の高さを見せ躍進する事となりました。
③リーグでは「異色」となるパスサッカーで新風を吹かせる
そしてセスク監督は来シーズンもコモで指揮を執ることを決意。チームのベースを築き上げた監督の残留は何よりも大きな補強になりそうです。
しかし今シーズンの再来を期待するのは酷で、特にケンプフ以外イマイチ頼りないセンターバック陣、そして前述したようにベロッティ、クロトーネ、ドゥヴィカスが定着出来ずシーズンを通して固定出来なかったセンターフォワードの獲得は必須。
現状最も苦手とされるハイプレスを組織的にかけられるチームがそもそもセリエAには少ない為ビルドアップ面は問題無さそうですが、攻守における軸作りは必要になってきそうです。
リーグでは「異色」となるパスサッカーで新風を吹かせたコモ。来シーズンの戦いぶりにも注目です。
では
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