今回はプロ野球の育成契約の抜け所について書いていきます。
①決してルール違反ではない
NPBの育成制度は本来、野球選手の裾野の狭まりへの対策と将来の有望な若手選手らを育成する観点から定められた制度であり、過去では山口鉄也投手(巨人)、岡田選手(ロッテ)がタイトルホルダーにもなる活躍、現在も千賀投手、甲斐選手(共にソフトバンク)等日本を代表する選手を輩出しています。またその制度の過酷さ(3年間と有限)と相まってその這い上がった選手達の努力や反骨精神等、多くのドラマを生み出していました。
しかし近年目立っているのはトミー・ジョン手術や大きな怪我を負った選手の回復の様子を見る目的で育成契約を行ったり、支配下登録選手の人数調整の為に、敢えて自由契約にしてから再度育成契約を行うケースが目立ち、本来の趣旨とは違う目的で使われている例が目立っており、その発表の度に議論が巻き起こっています。
ただこの契約自体は決してルール違反では無く、むしろ大きな怪我を負った選手達にとっては、
・支配下登録(戦力の枠)を圧迫しているというプレッシャーが無くなり、怪我をじっくり直すことが出来る(阪神では才木投手や島本投手等が当てはまります。)
・怪我を治している間も生活の保障(年俸)は担保されており、将来の不安が薄らぐ
等メリットの方が大きく、今まで育成制度前は大怪我=クビになっていた選手達にとっては大きな助け舟となっています。
②プロテクト外しにもなる
しかし問題なのは、育成契約を結んだ選手が国内FAにおける人的補償のプロテクト枠に含まれない事です。
これによりFA補強を試みる際に意図的に、将来的には戦力には入れるものの軽度の怪我持ちの選手や立場が微妙な選手と育成契約を結び、実質のプロテクト枠を増やす方法を取ることが出来、実際近年でも、
・2018年に浅村選手を獲得する際に高卒2年目の西巻選手(一軍出場&怪我無し)の選手を自由契約→育成契約を結ぼうとする(契約は結ばれずロッテに支配下登録される)。(通称楽天式プロテクト)
・2020年に多くの選手がFAとなる可能性がある中、巨人は5人の育成契約を発表。その中でも直江投手は年俸増額&早々の支配下への登録を示唆する(実際彼を含め3人の支配下登録を果たしています。)。その後DeNAから梶谷選手(人的補償には田中俊選手が選ばれる)、井納投手(Cランクなので補償なし)を獲得。
等の例があり、さらに今シーズンは巨人が主力含む11選手に戦力外通告→育成契約打診というある意味極端且つわかりやすい「プロテクト外し」とも受け取られても可笑しくない行動を起こしており、議論の的となっています。
また他球団もそのようにしているのではないかという話もありますが、FA補強に特に積極的である巨人、楽天が目立ってしまうのは致し方無いと思います。
③制度自体の見直しが必要な時期に
ただ前述したようにこのことはルール違反では無く、明らかにそれを見越した動きをしていても処分の対象にはなりません。
その為、
・育成契約した選手もプロテクト枠に入れる。
・怪我の程度による故障者リスト制度を取り入れる。
・ドラフト指名権を譲渡する等補償制度自体を変更する。
等、制度自体の見直しが必要であり、問題点が露骨に出てきていることから、時期的にも変更に踏み切れるいい機会であると思います。
一般的にはFA移籍=裏切者、金満球団の強奪と評されていますが、本質的には選手が自由に行使できる権利であります。その為にも当該選手や他選手にリスクが大きいものではなく、獲得する球団が代価をきっちりと支払う方法にして、制度の見直しに取り組んで欲しいものです。
では
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